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| 急性心不全の病態は非常に多彩であるため,まず正確な診断が求められる。次に,病態を正しく把握し,治療目標を明確にした上で薬剤を選択し,さらに補助循環の適応を考慮する(表5-1)。 その際,低心拍出量とうっ血の両者を伴うForrester IV度(図3-7a)の治療はしばしば議論となるところである。ほとんどは血管拡張薬中心の治療で十分であり,強心薬の必要性は10%弱ではないかとの報告もある。 |
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図3-7 ![]() |
| 病型に応じた薬剤の選択と強心薬の適応 |
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臨床的に強心薬の必要性を判断する際に,左右どちらの心不全が前面に出ているかを見極めることも参考になる(表5-2)。左心不全と両心不全の場合,血圧はある程度維持されていることが多く,薬物治療の基本は血管拡張薬と利尿薬である。一方,右心不全症状,ビリルビン高値,あるいは心エコー図検査でIVC(下大静脈径)の拡張,また浮腫や体重の増加があれば,右心不全優位と考えられる。 |
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| ミルリノンの特徴と効果的な使用法 |
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一方,同じ薬剤でも,病因によっては効果が異なる場合もある。ミルリノン0.5μg/kg/min・48時間持続点滴投与した海外の成績では,虚血性心不全群では血圧低下や不整脈などがみられたが,非虚血性群ではそのような副作用は少なかった(図5-2)。このデータは海外の投与量であるが,病態を十分に解析し,ミルリノンの投与量に十分注意すれば,副作用を回避できる可能性が高い。 |
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| 右心不全メインの重症例に対するミルリノンの効果 | |||||||||||||
この時,急速な血圧低下がみられたため,塩酸ドパミン+塩酸ドブタミンにより血圧の上昇を図った。また,β遮断薬の導入を試みたが,心不全が増悪したため断念した。そこで,僧帽弁形成術施行後にβ遮断薬を導入したところ,良好な経過をたどり,退院した(図5-4)。
心機能低下例において,ACE阻害薬やAII受容体拮抗薬は,稀ではあるが急激な血圧低下をきたすことがある。本例では,塩酸ドパミン+塩酸ドブタミンにより血圧上昇が図られた。また,β遮断薬を導入できないDCM例の中には,非常に強いMRを示すものもみられる。本例では,僧帽弁形成術を施行することにより,β遮断薬の導入が可能になった。 このように,β遮断薬不忍容例では僧帽弁形成術後に導入が可能となることがある。 しかし,急性期に神経体液性因子を遮断することが,果たして本当に慢性期の予後改善につながるのか,あるいはPDEIII阻害薬とカルペリチドでは,急性期を脱した症例の予後はどちらが良好か,というような問題解決のためには,今後,臨床試験によるevidenceが必要である。 |
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図5-4 ミルリノン+塩酸ドブタミン併用によるβ遮断薬導入例 ![]() |
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